「創業融資を受けるには自己資金がいくら必要か」は、多くの起業家が気にするポイントです。2024年の制度改定で、日本政策金融公庫の創業融資では自己資金の要件が撤廃されました。ただし、要件がなくなったことと、自己資金が審査で見られなくなったことは別の話です。この記事では、自己資金の位置づけと、いくら・どう準備すればよいかの考え方を整理します。

「自己資金要件」は制度上撤廃された

かつての制度(新創業融資制度)では、創業資金の一定割合以上の自己資金があることが要件とされていました。2024年にこの制度が見直され、「新規開業・スタートアップ支援資金」へ統合されたことに伴い、自己資金の要件は制度上撤廃されています。つまり、形式的な「自己資金◯分の◯以上」という足切りはなくなりました。

ただし、制度や金利・限度額などの詳細は変わることがあります。申し込みの前には、日本政策金融公庫の公式情報で最新の内容を確認してください。

それでも自己資金が重視される理由

要件が撤廃された一方で、準備してきた自己資金の額は、審査のなかで引き続き重要な要素です。自己資金は、事業にどれだけ本気で取り組んできたか(計画性・準備の度合い)を示す材料になるためです。実務上は、自己資金が極端に少ない場合、審査で不利になる可能性がある点には注意が必要です。

自己資金は「あればあるほど有利」という単純な話ではありませんが、計画的に準備してきた事実は、事業への信頼につながります。

自己資金として見られるもの・見られにくいもの

自己資金は、どのように貯めてきたか(出どころ)も見られます。毎月の収入からコツコツ積み立ててきた預金は、計画性の裏づけとして評価されやすい一方、申し込み直前に一時的に用意したお金(いわゆる「見せ金」)は、自己資金として評価されにくいのが一般的です。通帳で資金の流れが説明できる状態にしておくことが大切です。

  • 評価されやすい:給与などから継続的に積み立ててきた預金、資金の流れが通帳で確認できるもの。
  • 説明が必要:親族からの贈与・借入など。出どころと性格をきちんと説明できるようにしておきます。
  • 評価されにくい:出どころが不明なお金、直前に一時的に用意した資金。

いくら用意すべきかの考え方

「いくら必要か」に一律の正解はありません。要件が撤廃された今は、金額そのものよりも「必要資金に対して、どれだけ自分で準備し、残りをどう調達し、どう返すか」という計画全体の説得力が問われます。まずは運転資金と設備資金を積み上げて必要総額を把握し、そのうえで自己資金と借入のバランスを考えるのが順序です。

目安の数字だけを一人歩きさせるより、自社の事業に即した必要額と準備状況を、根拠をもって説明できることのほうが重要です。

自己資金が少ない場合の進め方

自己資金が十分でない場合でも、相談できないわけではありません。事業内容や収支の見通し、これまでの経験など、自己資金以外の要素を含めて総合的に判断されます。大切なのは、足りない部分をどう補い、どう返済していくかを、計画として示せることです。

ChronoArtでは、必要資金の整理から自己資金と借入のバランス、計画の組み立てまで、創業融資の無料相談でご一緒します。自己資金に不安がある段階からでも、どう準備を進めればよいかを一緒に整理できます。

自己資金は「金額」だけでなく「どう準備してきたか」が見られます。通帳で資金の流れを説明できる状態にしておくこと、そして必要総額と返済計画とあわせて語れることが、説得力につながります。

よくある質問

自己資金がなくても創業融資は受けられますか?

制度上の自己資金要件は撤廃されているため、自己資金がないと必ず受けられないわけではありません。ただし実務上、自己資金が極端に少ないと審査で不利になる可能性があります。融資の可否は金融機関が判断します。

自己資金はいくらあれば安心ですか?

一律の正解はありません。必要資金の総額に対して、自己資金と借入をどう組み合わせ、どう返済するかという計画全体の説得力が重要です。

親から借りたお金は自己資金になりますか?

出どころと性格を説明できることが前提になります。贈与か借入か、返済の有無などによって扱いが変わるため、資金の流れを明確にしておくことが大切です。

直前に用意したお金は自己資金として認められますか?

出どころが説明できない一時的な資金(いわゆる見せ金)は、自己資金として評価されにくいのが一般的です。計画的に積み立ててきた経緯が説明できる状態が望ましいです。

鵜飼颯大

この記事を書いた人

鵜飼 颯大株式会社ChronoArt 代表取締役 / 公認会計士

監査法人を経て独立。中小企業の財務・経営管理を支援する公認会計士。プロフィール →

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