「記帳は誰に頼む?」「月次の数字を見てほしいけど、それは税理士の仕事?」「資金繰りや事業計画は誰に相談すればいい?」——会社の経理・財務まわりには複数の担い手が登場します。役割が重なって見えるため、多くの経営者が「結局、誰に何を頼めばいいのか」で迷います。この記事では、外部CFO・顧問税理士・経理代行(記帳代行)・社内経理の役割の違いを整理し、会社の成長段階に応じた使い分けを解説します。

経理・財務まわりに登場する4つの担い手

まず、混同されやすい4つの役割を分けて捉えることが出発点です。それぞれ担う領域が異なります。

  • 社内経理:資料の回収、支払・請求、社内処理など、日々のお金の実務を回す。
  • 経理代行・記帳代行:領収書や通帳データをもとに、会計データを正確に入力・整理する。
  • 顧問税理士:税務申告・税務相談・税務判断。税金を正しく計算し、申告する専門家。
  • 外部CFO・財務パートナー:整った数字を使い、月次の経営判断・資金繰り・予実管理・金融機関対応まで担う。

大まかに整理すると、記帳代行と社内経理が「数字をつくる」、税理士が「税務の正しさを担保する」、外部CFOが「数字を経営に活かす」役割です。外部CFOそのものについては外部CFOとは?役割・費用・税理士との違いで詳しく解説しています。

4者の役割を一枚で比較する

同じ「会計・財務」という言葉で語られますが、責任範囲は次のように分かれます。

担い手主な役割担わない領域
社内経理資料回収・支払・請求・社内処理経営判断・税務判断
経理代行・記帳代行会計データの入力・整理数字の読み解き・経営助言・税務申告
顧問税理士税務申告・税務相談・税務判断月次の経営管理・資金繰り設計・事業計画策定
外部CFO月次の経営判断・資金繰り・予実管理・金融機関対応税務申告・法務・労務手続
「税理士に頼んでいるから財務は大丈夫」と考えている会社は少なくありません。しかし税務申告と、月次で経営判断に使える財務管理は別の仕事です。ここが空白になっていると、決算は出るのに経営判断に使える数字が手元にない、という状態が起こります。

業務別|結局、誰に頼むべきか

具体的な業務ごとに、第一に頼るべき相手を整理します。

  • 日々の支払・請求・資料整理:社内経理(人手が足りなければ記帳代行と分担)
  • 記帳・会計データの整理:記帳代行、または経理代行
  • 税務申告・年末調整・税務相談:顧問税理士
  • 月次試算表を「経営に使える速さ」で出す:外部CFO(月次決算に時間がかかる会社の共通点も参照)
  • 資金繰りの管理・先読み:外部CFO
  • 事業計画・融資資料の作成、銀行対応:外部CFO
  • 予実管理(予算と実績の差異分析):外部CFO

ポイントは、記帳・税務と、経営管理・財務を切り分けることです。前者は税理士・記帳代行の領域、後者は外部CFOの領域で、両者は競合しません。

費用感の違い

役割が違えば費用の桁も変わります。おおまかな目安は次のとおりです。

  • 記帳代行:仕訳数や取引量に応じて月額数万円程度から。
  • 顧問税理士:会社規模により月額顧問料+決算料。中小企業では月額数万円〜が一般的。
  • 常勤CFOの採用:役員報酬として年間1,000万円以上になることも珍しくない。
  • 外部CFO:関与範囲に応じて月額数十万円程度から。常勤採用より固定費を大きく抑えられる。

ChronoArtの場合、記帳だけを外部化する記帳ミニマム(月額8万円〜)、毎月数字を見る月次面談(月額15万円〜)、事業計画・金融機関対応まで含む財務伴走(月額30万円〜)と、必要な範囲だけを選べる形にしています。

成長段階に応じた使い分け

どこまで外部に頼むべきかは、会社のステージによって変わります。

  • 創業期:まず税理士(申告)と記帳の仕組みづくり。数字を残す土台を整える段階(創業期に整える経理の基本)。
  • 年商〜3,000万円:記帳を外部化しつつ、月次で数字を見る習慣をつくる。記帳代行+月次面談の組み合わせが有効。
  • 年商1〜3億円:資金繰りや利益率が見えにくくなる時期。外部CFOで月次管理・予実管理を仕組み化する。
  • 年商3億円以上・資金調達期:事業計画・金融機関対応が経営の中心課題に。外部CFOの財務伴走で、常勤採用の前に財務基盤を固める。

混同されやすい3つのポイント

最後に、相談の現場で混同されやすいポイントを整理します。

  • 「税理士に全部任せれば財務は安心」:税務申告と月次の経営管理は別。税理士は税務の専門家であり、経営管理・財務の設計は本来の役割外です。
  • 「記帳代行を入れたから数字は見えている」:記帳は数字を"つくる"だけ。読み解いて経営判断に変える工程がなければ、数字は活きません。
  • 「CFOはうちにはまだ早い」:常勤採用は早くても、外部CFOなら必要な範囲だけ低コストで使えます。むしろ数字が見えにくくなる成長期こそ検討時期です。

まとめ|切り分けてから、埋める

経理・財務まわりで迷ったら、「記帳・税務」と「経営管理・財務」をまず切り分けること。前者は記帳代行・税理士、後者は外部CFOが担います。多くの中小企業では、税務と記帳は手当てされている一方で、経営管理・財務が空白になっています。その空白が、決算は出るのに経営判断に使えない、資金繰りが読めない、という悩みの正体です。自社のどこが空白かを見極めることが、最初の一歩です。ChronoArtの役割分担の考え方はサービス・料金でも整理しています。

鵜飼颯大

この記事を書いた人

鵜飼 颯大株式会社ChronoArt 代表取締役 / 公認会計士

監査法人で上場企業監査・IPO支援に従事後、中小企業の外部CFOとして決算早期化・資金調達・予実管理・財務改善を支援。数字に基づく経営の実装を専門とする。プロフィール →

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