売上は伸びているのに、なぜか手元にお金が残らない。多くの中小企業の経営者が抱えるこの悩みは、経営者の能力ではなく「数字の見え方」に原因があることがほとんどです。
「どんぶり経営」とは、売上や経費をおおまかな感覚で捉え、正確な数字にもとづかずに経営判断をしている状態を指します。創業期は勢いとどんぶり勘定でも進みますが、社員が増え、取引が複雑になるにつれて、数字が見えないことのリスクは大きくなっていきます。
なぜ「どんぶり経営」になってしまうのか
多くの場合、背景にあるのは経理に時間がかかっていることです。試算表が出てくるのが2〜3か月後になると、それはもう「過去の記録」に近く、次の判断の材料にはしづらくなります。数字が古いと使う機会が減り、使わないと整備が後回しになりやすい——この循環が「どんぶり」の状態を続かせてしまいます。
まず整えるべき3つの数字
1. 手元資金と資金繰り
会社が倒れるのは赤字のときではなく、お金が尽きたときです。まずは「今いくら現金があり、これから数か月でどう増減するか」を資金繰り表で可視化します。利益より先に、資金の流れを押さえることが最優先です。
2. 粗利(限界利益)
売上そのものよりも、「売上から変動費を引いた粗利がいくら残るか」が経営の実態を映します。どの事業・どの商品が本当に儲かっているのかは、粗利で見なければ分かりません。売上が伸びても粗利率の低い仕事ばかりでは、忙しいのに利益が残らない状態に陥ります。
3. 固定費と損益分岐点
毎月かならず出ていく固定費を把握し、「いくら売上があれば赤字にならないか(損益分岐点)」を知ることで、値付けや投資の判断に軸ができます。
数字は「作る」より「毎月見る」ことが大切
決算のためだけに数字を整えても、経営は変わりません。毎月、試算表と資金繰りを確認し、前月・前年と比べて「なぜ変わったのか」を言葉にする。この習慣が、感覚の経営を数字の経営へと変えていきます。月次決算を早期化する方法については別の記事で詳しく解説しています。
一人で抱えず、外部の視点を使う
とはいえ、経営者が本業をこなしながら数字の整備まで担うのは簡単ではありません。記帳や月次管理を外部に任せ、経営者は「数字を見て判断する」ことに集中する——それも一つの選択肢です。ChronoArtでは、記帳から月次面談・財務伴走まで、会社の状況に合わせて必要な範囲だけを支援しています。